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zoom RSS 八甲田トンネル(6)

<<   作成日時 : 2009/05/31 02:54   >>

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今回は5番目の築木工区です。

予定よりだいぶ遅い時間になってしまいましたが、日曜までに全7回終わらせないとスケジュール的に問題なので急ぎます。

−◇−


みちのく有料道路を走破する。
そして折紙工区の現場前を細々と流れていたはずの野内川がそこそこの川幅になったところを渡り少し西へ。
間髪を入れず南に針路を取る。
目的地に対して遠巻きしなければならないのだが、野内川に架かる橋が少ないからである。

青森道の下をくぐりさらに南進。
工区名の由来となったであろう「築木館」という集落に差し掛かった。



ここでちょっと地図をご覧頂きたい。
「築木館」の集落を指したものなのだが、建物が寄せ集まっている道路と、そうでない北側を迂回する道路の2本あるのがお分かり頂けるだろうか。



これはYahoo!地図で見られる同地区の航空写真である。
これにもやはり、北側を迂回する道路がはっきり確認できるだろう。

実はこの道路、
「新幹線工事専用道路」だったのである。

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現地の入口側の分岐点にはこのような看板が設置してあった、
このあと筆者らは当然一般車の方、つまり集落の中の道路を通ることになるのだが、全体的に狭いし、2箇所ほどクランクがある。大型車が頻繁に行き違うのは困難と思われ、それが故に迂回路を造ったのだろう。

最後にもう一度出てくるので、ご覧の皆様にはこの航空写真などをはっきりと記憶しておいて頂きたい。


先に進む。
地形図で太くなっている方の道路に誘われてはいけない。そちらはゴルフ場である。
幅員3m未満の実線で描かれた道路こそ現場への道である。
机上では信じられないのだが、航空写真で見るとお分かりの通りかなり改修されている。
これが築木工区の工事にあたって延長3kmも手直しされた林道の姿である。

この、改修部分というのは随所に現れる。
道路は沢を何度か跨ぐのだが、その橋がことごとく付け替えられているのである。

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少し見えにくいが、中央の暗がりにあったのが古い橋で、右側の舗装された方が新しい橋である。

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他方、逆のパターンもあった。
このように、後から設置した方をなぜか通行止めにしている例だ。
ここの場合写真の左側にオリジナルの橋があり、そちらを通行した。

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途中、左手(東)に空き地を発見。しかし何か違和感を覚えた。

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そう、まばらに植樹されているのである。
そして何か立て札があり字が書いてある。

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新幹線記念植樹−とある。
植えられたのは今から3年前のようだ。

さらに南進。
今度は西の方角が開ける。
目に入ったものとは…

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なんと、谷一つ全部埋まってしまうような大量の土砂で作られた平地であった。
ちょっと遠いのでその具体的な規模は量りかねるが、恐らく全工区中で最大規模ではないだろうか。

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ここも管理型土捨場のようだ。

さてそろそろ現場の筈だが…
最大の関心事は、ここがもはやみちのく道路沿いではないということである。
つまり、屋形工区の閉塞を目の当たりにした以上、築木もそうなってしまったのではないかという危惧があったのである。
果たして−



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お!開いてる!開いてるじゃないか!!

見えてきた斜坑口は漆黒の口を開けていた。
しかも、斜坑の脇と橋の手前には何台か車が止まっており、折しも休憩中といった様子であった。
どうやらまだ現役ということらしい。

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こんなに間近で見られるのは嬉しい限りである。
え、工事現場に進入してないかですと?

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実は、この工区で立入禁止なのはこの取り付け部の橋の先からなのである。
つまりこちら岸にいる限り問題ないのだった。

そして折しも休憩時間終了の雰囲気。
期待した光景が目の前で始まった。

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そう、それは自動車が斜坑を下りていく瞬間。
これは今の期間でなければ絶対に見ることができない。
瞬間構造物の「瞬」たる所以を実感させる出来事であった。

改めて見返すと、斜坑が想像以上に巨大なのがお分かり頂けると思う。
幅員なども乗用車クラスなら余裕ですれ違えそうだ。勿論坑内には大型車用の待避所がある。



第一回目の取材は、こうして大満足の成果で幕を閉じた。



そして今回。
築木工区にはある異変が起き始めていた。



ここで先ほど引き出しにしまっていただいた築木館の迂回路を思い出していただきたい。
その上で次の写真をどうぞ。

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畑?田んぼ?
もしや!?

…お察しの通り。
ここは迂回路だった土地なのである。

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1枚目に貼った迂回路の看板、きっとあるはずと思って車を走らせたら見つからなかった。
助手席にいた友人が「あれってここじゃないの?」という。なんですと?

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疑問が確信に変わるまでかなりの時間を要した。
何せ舗装までしてあった道路が忽然と消滅し、田畑のように済ました顔していたからである。
ただ、この側溝埋めの鉄板だけが分岐点だった証として残るのみである。

それでも今はまだ土の色も生々しく、前回の記憶をたぐれば何とか把握できる。
しかしこれが、もう何年か経てば完全に周囲と同化するであろう。
そうなったときに初めてこのトンネルの謎に触れる人は、築木館の集落をどうやって工事用車両を通したのかという手品に陥るのである。
前回の取材は貴重だったのだ。行っておいて良かった…

この感想は行く先々で起こることになった。

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こちらがその迂回路の南端。
まだ通行止めの処置があるのみだが、いずれ入口側のように消滅する可能性が高い。
迂回路はおそらく借地だったのだ。元の地主が原状復帰を条件とすれば、田畑に戻るというわけである。

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さらに、あの工事用だった橋も橋台ごと撤去され、川筋をロックフィルで復元してあった。

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こっちが元の橋。
こうしてまた、謎が一つ増やされる。



そして、極めつけはこれだった。

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と び ら !
内心屋形のように閉塞されるのではと思っていただけに、こうするということは残すということなので安心した。
が、もう車の出入りはしないのだろう。

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ゲートは閉まっていたが、それ以上の変化はない。
この橋は側面から見たので分かるとおり、鋼鉄製の仮設橋である。
てっきり斜坑を潰して橋を撤去するのかと考えていたが、このまま使うつもりだろうか。

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前回、このスペースにはトラックと数台の乗用車がいた。
今日はもう誰もいない。ウグイスのさえずりだけが山間に響き渡る。

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風圧対策のためか非常に頑強な印象を受ける扉である。
盛岡−八戸の区間で見たものと似ている。ただし、そちらは坑口のツラに扉がある。
このように少し入った所に扉ができるとは思わなかった。

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トンネルはまだ工事中である。
そのことを示すのがこの「化粧木」だ。
先端技術が投入され飛躍的に進歩するトンネル工事の現場。
だが伝統的に、山の神を鎮めるための儀式は怠らない。
化粧木もその一つであり、決まった作法があるのだという。
意味合いは神社の鳥居(の、一番上の反った木=笠木)と同じだそうだ。

2度の取材で判明した明らかな相違点。
開業してからでは分からないことがあるということを如実に体験した一幕であった。

開業の直前には再度訪問する予定である。
その時にまたどんな変化が起こるか、楽しみである。

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おもむろに道路を引き返す。
日が暮れてきたが最後に梨ノ木を見なければならないので急ぐ。

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途中のカーブミラー。
いかにも後からしつらえたような雰囲気だ。
オリジナルも何本かあり、そちらはいわゆる「国交省仕様」であった。

で、最後にこの地で調べておきたいことがあった。
それは、あの広大な土捨場と坑口を結んでいた「長大ベルトコンベアー」についてである。

こちらのサイトをご覧頂きたい。何ともすさまじい構造物ではないか。
今来た道の上を延々とベルトコンベアが続いていたというのである。

もっとも、前回も今回も、そして航空写真にさえもこの構造物は写っていない。
なので、何らかの痕跡を探すことが帰り道の目的となった。

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するとそれは、砂防ダムを過ぎたあたりで僅かに発見できた。
この茶色の、ガードレールというには高さが低すぎる茶色の物である。

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これ、上のサイトに出ている赤い壁の名残ではなかろうか。

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全体的に錆びてはいるが、赤い色の部分が僅かに見て取れる。
そして支柱の断面が荒れていることから、用済み後に現場で大ざっぱに切断したのではないかと思われる。



ところで、ここまでのレポートで、地形図にそれらしき建物などの表示があってそれが探索の多大なヒントになっていることにお気づきになると思う。
Yahooの航空写真にも一部が写っていることを考えると、おそらく本格的な工事が始まった後で調査のために空撮が行われ、それを元に今の版の地形図を作成しているのではないだろうか。
多分、開業後にはよりはっきりした形でトンネルの線形が書き込まれることになるだろう。
その時、この現場付近の様子が再改変され、まるで何もないように書き換わってしまう可能性も否定できない。
今の版の地形図・航空写真も実に貴重な資料なのである。

−◇−


分量が分量だったのでこの記事自体がベルトコンベアーのように伸びてしまいました(^^;)

次回は最終回、梨ノ木工区+αです。
+αが大事なのです。

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