テクノ・トレジャー備忘録

アクセスカウンタ

zoom RSS テクノトレジャー・ブログ編 八甲田トンネル(1)

<<   作成日時 : 2009/05/25 21:06   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 0

本日より5月いっぱい、七回に分けて連載します。
6月からは本サイトの方の更新をぼちぼち再開したいと思っております。

八甲田トンネルは現在進行中の構造物ですから、工事誌をあてにしたのではあと3年は待たされます。
散在する情報を頼りに、これまで2回取材を敢行しました。その結果についてご報告したいと思います。

章立ては本サイトの形式と異なり、工区ごととしました。

まだ工事誌が編纂されていないため、一部に不正確な情報や、筆者の仮説ならびに推測が多分に含まれています。この点はご承知の上一読下さいますようお願い致します。

−◇−


画像


東北新幹線 八甲田トンネルは、青森県上北郡七戸町(旧天間林村)市ノ渡から、青森市駒込字深沢に至る、全長26k455mの山岳トンネルである。
トンネルは6工区に分割され、1998(平成10)年7月に青森方坑口の梨ノ木(なしのき)工区から工事が始まった。以後、1999年3月に市ノ渡(いちのわたり)工区、2000年3月に残る屋形(やかた)・大坪(おおつぼ)・折紙(おりがみ)・築木(つきのき)の中間4工区が着工した。2005(平成17)年2月27日に大坪・折紙の工区境で貫通、現在は覆工・路盤・軌道・電気関連の工事がほぼ終了している。

画像


線路縦断面図は上図の通りである。
線形は入口手前から市ノ渡工区の全区間、そして築木工区の後半から梨ノ木工区の中央付近までの2箇所に半径8000mの曲線があるのみで、縦断は貫通点となった大坪・折紙工区境を頂点とする10‰の拝み勾配となっている。

なお、本章の参考文献は主に「トンネルと地下 巻32-6(2001年6月号) p.7〜15 東北新幹線八甲田トンネル全工区着手」によった。国会図書館の蔵書であるのでどなたにも閲覧が可能である。

それにしても、幾度となく線路断面図を書いてきたがこれほど険しい山容は経験がない。実際に参考文献に載っている断面図(p.8およびP.12)もあまりに山が高いのか途中で切れているほどである。ちなみに先刻ご承知と思われるが垂直方向の縮尺はかなりデタラメである。
両坑口近辺を除けば集落は全くなく、いわゆる深山幽谷の趣であり、あの「八甲田山雪中行軍」遭難地点からもそう遠くはない。しかし1980(昭和55)年、この地に「みちのく有料道路」が完成して風穴を開けたため、八甲田トンネルはこの道路を極力利用する形で工事が進められている。

とはいうものの、とりわけ中間の4工区は取り付けにかなり苦労したようである。
屋形工区は工事のため林道を3.7kmも改修した後、718mの斜坑を掘削した。
大坪工区はみちのく道路から沢に架橋し740mの斜坑を設備。
折紙工区もみちのく道路沿いだが斜坑長は何と1330mに達する。
そして築木工区は3kmの林道整備と985mの斜坑を伴う工事となった。

当時世界最長の山岳トンネル(鉄道用全体ではもちろん青函が最長)として注目されたが、貫通からわずか2ヶ月後にスイスのレッチュベルク・ベーストンネル(Lotschberg base tunnel;L=34,577m)が貫通しあっさりその座を明け渡した。既に部分開業している。2018年には同じスイスのゴッタルド・ベーストンネル(Gotthard-;L=57,091m)が完成を控えており、そちらは名実共に世界一となる予定である。
負け惜しみを言うと、いずれも単線並列のトンネル(アルプス山脈の文字通り「基底」を貫くため、強大な地圧により大断面が掘れないらしい)であり、複線断面の鉄道トンネルでは相変わらず青函・八甲田の順となる。ま、そのようなことに拘らなくとも日本一なのは確かだ。

筆者は、2007年10月および2009年5月にこのトンネルの調査を行った。
約1年半の間に変わるべき所は著しく、逆に変わらぬ所は全く、というように緩急激しい模様であった。
そこで「構造物がまさに消えんとしている瞬間」と遭遇することになるのである。

−◇−


次回は七戸駅(仮称)〜市ノ渡工区(八戸方坑口)をお伝えします。

本記事の参考文献(特記以外)
飛島建設 プロジェクト紹介(八甲田トンネル築木工区)
Wikipedia(英語版)-Lotschberg Base Tunnel
↑日本語版だと数値が省略されてます。他検索で引っ掛かった日本語のサイトではなぜか全長がバラバラ。
Wikipedia(ドイツ語)-Gotthard-Basistunnel
↑同じスイスのトンネルだがこちらは独語表記がメジャーのようです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い 面白い 面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
テクノトレジャー・ブログ編 八甲田トンネル(1) テクノ・トレジャー備忘録/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる